シゴトをする場所


僕はフリーランスという職業柄、カフェのような場所で自由に仕事をすることがよくある。
昨日も、そしてこれを書いている今も、コーヒーを飲みながら自宅とは違う場所で仕事をしている。

こういった就業形態をノマドワーキングと言うようにもなったりして、それだけ職場を選ばない働き方をする人が増えた、ということでもあるだろうし、なによりもカフェという場所に対する考え方が変わってきたというのも大きいのだろうなと。

今では当たり前のように、カフェに行けばノートパソコンを開いて原稿を書いたり、企画書を作成したり、ペンとノートを取り出してアイデアを出してみたりすることに何らの疑問を持つことはなくなったのだけれど、数年前まではやっぱりカフェと言えば「お茶をするところ」だったような気がする。友達や恋人とカフェで待ち合わせ、あるいはひとりで一服。カフェが流行りだしたばかりの僕というのは、どちらかといえばそんなことだけでカフェをたびたび利用したいと考えられるほどの金銭を常に持ち合わせていないということもあって、どちらかといえば敬遠してるほうだった。

けれど、今こうして「仕事をする場所」としての認識を持つようになってからは、たった数百円でこれほど自由に、長時間リラックスして居座り続けられる場所が他にあるだろうか、と思うほどまでに考えも変わってきた。

仕事のスタンスとしては、朝カフェ昼自宅、というのが僕の基本。
朝起きたらまずは読書。特にビジネス書をざっと読む。1日1冊というのが目標なのだけれど、それがかなわないこともあって、そんな時には少なくとも半分だけでも読むようにする。とにかく多読だ。そしてこれは欠かすことのないブロックされた日課でもある。

そして朝ごはんは抜いて、そのままカフェへ移動。なるべく「思考」を必要とする作業は朝にやってしまうようにしている。どんな本にも書かれていることでもあるし、僕自身も常々かんじていることなんだけれど、特に早朝が一番頭が働く。原稿を書いたり、今日1日のタスクを考えるには最適だ。

昼以降は自宅に戻って仕事をする。
やることの流れは朝に作っているのだから、昼以降に今日はなにしようか?と考えることもないし、どちらかといえば頭ではなく体を動かす作業に重点を置く。デザインをするとか、発送作業をするとか。そういった作業をするには身の回りに物がたくさんあるほうが良いので自宅が最適である。あるいは、考えるだけなら脳みそさえあれば良いので「物」は必要としないけれど、こうして手を動かし、プリンタを使うとなればそれはカフェには持ち込めないものなのだから必然的に自宅での作業となる。

そうやって1日を「頭」と「体」で分けた仕事のスタイルで作っていく。

他にも、カフェスタイルに似た働き方はある。それはコワーキングスペースを利用する方法だ。
つまりカフェのように自宅ではない場所をお金を出して借りるという仕組み。このコワーキングスペースの面白いなあと感じるところは事務所と呼ばれるような所有物とは違う「刺激」がたくさん存在することだ。僕と同じようにノマド的に働く人間がシェアのような形でひとつの場所に集まり、それぞれが自分の仕事をする。「お茶をする人」「受験勉強をする人」「おしゃべりをする人」「仕事をする人」が混在するカフェとは違い、仕事に邁進する人が集う場所なので、働く姿にすごく刺激を受ける。その点ではカフェよりも緊張感はあるし、がんばらなきゃなってなる。自分ひとりではいつも高いモチベーションを維持するのは大変。こうして人からもらう刺激でモチベーションを維持できるのであれば多少の出費は痛くはない。それが利益につながっているのだから。

見た目には何を気取ったことを、と僕も以前はそんなことを感じていたけれど、実際に利用するとまったく焦点の合わない話をしていたことに気づかされた。利点としてよくあげられる、「自由に」「気楽に」といった感覚もたしかにあるにはあるのだけれど、それ以上にあらゆる空間の中で仕事をすることで「モチベーション」と「新鮮さ」を維持することが可能になるということが最も大きな利益であり、実際の収益にも繋がっていく。この感覚が合う人はノマドワーキングという働き方は向いているのだろうと思う。

その前にもちろんフリーランス、という就業形態のリスクを受け入れる必要があるのだけれどね。なかなか大変です。